会員紹介記事Vol.003 荒町弘様

1.1 システム監査及びSAAJと関わりを持たれた経緯

荒町弘 私は平成4年に(株)内田洋行に入社しました。当初はオフコンによる私立学校様向け事務システムの担当営業を経験し、3年目から自治体様向けシステムの担当営業に従事しています。クライアントである自治体様でITを統括している川端さんとの出会いがあり、情報システムの開発・運用等における監査の観点からの助言を各種いただきました。川端さんはSAAJ設立当初からのメンバーの一人でもあり、(財)地方自治情報センター(LASDEC)の講師も務められるなど、幅広く活躍されており、自治体業務以外にも広くIT全般に精通されています。
もともとコンピュータはそれほど得意ではなかった私でしたが、川端さんの「常に学ぶ」という姿勢に影響され、ネットワークやセキュリティにも興味を持つようになり、後にシステム監査技術者やITストラテジストなどの資格を取得することができました。
営業職でシステム監査技術者の資格を持っているのは社内的にも珍しいと思います。そして、仕事上ではシステム監査の実践経験が積めないため、川端さんのご紹介でSAAJに入会しました。

1.2 システム監査及びSAAJに関わる活動の中で思い出に残る事例やエピソード

SAAJでの活動は、自分自身の自己研鑽の場として大変役立っています。資格は仕事に直結はしませんが、少なくともお客様に対して一定の信頼性をアピールできるというメリットはあります。ただその裏返しとして自らの発言に対する責任はより一層強くなると感じています。
仕事柄システム監査の実務はなかなか経験できないため、システム監査の実務経験を少しでも積むため、SAAJのセミナーWGへの参加や、さらにBCP研究会を立ち上げるなど積極的に活動しています。昨年の近畿支部の研究大会では中間報告として、BCP研究会の発表をさせていただきました。緊張しましたが、デビューの場を与えていただいたことに大変感謝しています。
現在、会社の理解もあって、積極的にSAAJの活動に参加させていただいています。

2.1 現在のお仕事について

 (株)内田洋行を少しPRさせていただきます。当社大阪支店のショールーム「ユビキタス協創広場CANVAS」をご覧いただくとお分かりになりますが、当社は、ITとオフィス環境の融合、そしてデジタルコンテンツを活用することで、あらゆる「空間づくり」「場づくり」のお手伝いをさせていただいています。
この取り組みは、産官学共通のソリューションであり、公共分野であれば、「いい学校」や「いい行政」を「視える形」にするというコンセプトでソリューション提案を行っています。
私の現在の業務は、自治体様向けのシステム営業であり、西日本地区を担当する課の責任者としてマネジメントを行っています。そして、当社がお客様に提供する「ウチダ公共クラウドサービス」では、今まで自己導入型で構築してきた業務システムをクラウドサービスにて提供しています。クラウドサービスは、BCPという面からも新たな価値提案ができると考えており、私のSAAJでの取り組みとも関連性が高いため、今まで学んだことが生かせるようになってきたと感じています。

2.2 趣味として取り組まれているもの

趣味としては、お酒と子供(主に3女)の相手です。また、韓国ドラマのファンであり、「チャングムの誓い」「オールイン」「チュモン」等は記憶に残ったドラマですね。

3.1 今後取り組みたいと思われている事柄

現在、自治体様では、ITを活用した住民サービスの向上や安全で安心してくらせる「まちづくり」、行政事務の効率化など、多くのテーマに取り組んでおられます。さらに、自治体様では、IT専門職員の確保がなかなか難しい状況にあると思われますので、我々のような事業者が積極的に情報提供をしながら自治体様のIT化のお役に立てればと考えています。今後はBCPを含んだシステム監査や、クラウドの構築・利用の運用を対象とするシステム監査を行うような新たなサービスを提案してまいりたく存じます。
また、システム監査やPMの資格等を重視するお客様も増えつつありますので、社内の営業マンにも学ぶ機会を増やし、資格取得を薦め、技術レベルの向上を目指して積極的に自己啓発の後押しをしてまいりたいと考えています。

3.2 システム監査の展望

 自治体様を取り巻く環境は、ほぼ毎年行われる税制改正をはじめ、ここ数年、自治体合併、後期高齢者医療制度や、最近では外国人住民に係る住民基本台帳制度への対応など、絶え間なく変化しています。次はマイナンバーですが、これは大規模であり、他システムとも関係が深く、影響範囲は広範です。システム監査を行うことは有効であると考えられますが、自治体様のシステム監査はセキュリティ面が中心であり、運用面や業務面でのシステム監査まではなかなか手が回らないのが現状であろうかと思われます。
ITの調達から導入・運用後までの一連のライフサイクルの中で、ポイントを定めての監査は有効ですが、個々の自治体様で行うのはなかなか難しいと思われますので、外部の共通組織によるシステム監査を実施するというのも有効であると考えます。一つの例として、韓国の情報社会振興院がありますが、IT調達の支援から運用後の監査を外部の共通組織が行うという面で参考になるかもしれません。

注)情報社会振興院(NIA)は、各省庁のシステム調達の支援や監査と電子政府の戦略を立案するシンクタンクとしての役割がある。
(参考 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120731/413085/

 

<所感>
荒町さんは、システム監査業務と直接関係の薄い営業職を担当されています。自治体が構築するITシステムは重要インフラを担うことが多く、その営業活動も苦労が多いと感じました。重要インフラであるにも拘らずIT技術者の確保が簡単でない組織に対して、システム監査の知識を基に一味違ったITシステムの提案をされていました。
後輩のスキルアップの一つとしてシステム監査を取り上げられたりBCPという将来より重要となりそうなテーマに対して真摯に取り組まれていることに、頼もしく感じました。
最後に、お忙しい中にもかかわらず、取材にご協力いただきましたこと厚く御礼申し上げます。今後のご活躍に期待しています。

取材担当 文責:永田淳次、林裕正、金子力造