システム監査体験セミナー(実践編)開催報告

システム監査体験セミナー(実践編)開催報告

近畿支部主催 システム監査体験セミナー(実践編)開催結果について】

会員番号01345 広瀬克之

近畿支部では、2013年9月21日(土)、22日(日)大阪産業創造館を会場として、システム監査体験セミナー(実践編)を開催しました。
1日目は10時から18時30分、2日目は10時から17時00分までの2日間コースで実施しました。建築会社を事例企業として、システム監査のケーススタディを主とした内容で、4名の方にご参加いただきました。最少催行人数8名で案内していましたが、当協会の使命およびセミナーの継続性確保の観点で、開催決定といたしました。

●講義 & 経営者インタビューsaaj_20130921_01

最初にセミナーの説明やスタッフ及び受講者の自己紹介を行った後、「システム監査実施手順・手法」の講義を行いました。
その後、本日のケーススタディで学習する内容を監査手順に従って説明し、受講者はチーム作業を開始し、経営者インタビューの準備に入りました。

●予備調査 & 監査個別計画作成

1日目の午後は、経営者インタビューを行い、その結果を受けて予備調査で使用する質問項目検討・予備調査・まとめ・調査報告を体験いただきました。
1日目の最後は、2日目で実施する本調査の準備として、予備調査で得た情報を参考に、本調査でインタビューする項目を含めた監査個別計画作成を行いました。

●本調査 & 監査報告

2日目は、本セミナーのメインとなる本調査を実施しました。受講者は準備した質問項目に従って、対象会社の管理職・一般職、および事例企業のシステムアウトソーシング先企業の管理職・一般職にインタビューしました。短い時間の中で簡潔・的確なインタビューを実施されていました。
続いて、本調査のまとめから報告書作成まで実施いただきました。報告書作成は、どのような事実について指摘をするか、その分類・指摘内容等、議論を重ね適切な内容にまとめていただきました。saaj_20130921_02
最終的には、今回の監査依頼者である事例企業の経営者を含めた被監査部門への監査報告会を行いました。被監査部門からの質問に対して、これまでの議論を重ねた内容を背景に適切な回答で対応されていました。最後に、今回の体験セミナーで事例企業の問題をどのように分析していくのがよいかの、考え方の例を紹介し、一連のケーススタディの終了となりました。

●監査体験の感想

受講された三人の受講者から感想文を頂戴しました。


私はシステム監査技術者の資格を取得したものの、監査の経験は全くありませんでした。実際のシステム監査業務が自分のイメージどおりの物か確かめたい、という動機が本セミナーへの参加のきっかけとなりました。
参加して一番感じたことは、チームで作業する事の難しさです。資料の読込みや被監査部門へのインタビューの過程で色々な細かいリスク事項はチーム内で浮かんで来るのですが、メンバー同士で興味分野が発散する傾向があり、意見の集約に難航する場面がありました。また、監査手続を進めるに従って新たなリスクの発見もあり、最終的な監査報告書は、当初の監査計画書の監査項目から外れた指摘事項を多く含む物となってしまいました。
本セミナーでは、このようなシステム監査業務の実践的な難しさについて気付き得たことが、何よりも成果であったように思います。

 五野 友裕


最初の感想としては、1組だけだったので、驚きました。セミナー参加人員より、講師の数
が多いセミナーは珍しいと思います。日頃システム監査を実際に行うことはないですが、
今回のセミナーは実践力がついた気がします。同じ組の松井さんの的確なアドバイスもあり、有意義なセミナーでした。ただ、4人参加でしたので、8人くらいいれば、もっと他の人の考え方を参考にできたと思いますので、不満としては、人数が少なかったことです。
協会へのお願いとしましては、やはり、システム監査の法制化を目指していただいて、公認システム監査人として報酬を得る機会を増やしていただきたいと思います。そうなれば、セミナーの参加者も自然と増えると思います。

 村阪 浩司


・今回の会社の要望が「ISO系以外の観点によるシステム監査の実践的演習の受講」だったため、その内容に違わぬ貴重な機会となりました。
・ISO基準の枠外のところ(いわゆる非機能要件や、サービスマネジメントの有効性測定等)で、どういう取っ掛かりから着手するかの悪戦苦闘する過程を事前に実感できたことが大きな収穫でした。実際のISO系監査よりは会社法系・業務監査系の色合いが近い印象を受けました。
・実例に即している部分は説得性があり、確かにメインフレーム系という古びた技術でありますが、講師の方からご指摘があったように「ブラックボックス化した最新技術と同等に考えてみる」という視点にははっとさせられました。貴重な教材だと思います。あとはマニュアル共々、IPAさんの最新知見なども加味したアップデートを期待します。
・参加者が多い方が、他チームとの比較という点でより理解が深まった気がします。もっとも今回も、人数以外の要素では格安な料金設定なのに高品質の演習だと感じました。
・METIやIPA、その他他のプライマリベンダー等の協力を得た開催回数の積極増を期待します。また、ISMSやISO2000との関係をすっきり説明頂くとなおありがたいです。(今回、ISO19011の上に重ねて、さらに赤本やシステム監査基準の知識素養が必須なのか、どこまで重なる要素があるのかも関心事でした)

 石崎 大介


今回受講されたみなさんは、将来も見据えて何らかの形で監査業務に関与されておられるわけですが、今回の学習を通じて、さらに、システム監査に必要な手順・インタビュー方法の気付きや再確認につなげていただけたと思います。

以 上