SAAJ近畿支部第216回定例研究会報告 (報告者:大谷英徳)

会員番号 2782 大谷英徳(近畿支部)

1.テーマ 『大学における情報教育とICT活用の現状』
2.講師   高崎商科大学商学部経営学科(情報コース)教授
日本システム監査人協会 理事 荒牧裕一 氏
3.開催日時  2026年1月16日(金) 19:00~20:30
4.開催場所  オンライン視聴(Zoom)
5.概要

ここ数年、情報系学部を新設する大学が再び増えつつある。その背景を説明するとともに、大学における情報教育等の現状について解説する。
また、コロナ禍をきっかけとしたオンライン授業の導入や生成AIの登場により大きく変わってきている授業運営や近年の学生気質についても言及する。

6.講演内容

ここ数年、情報系学部を新設する大学が再び増えつつある背景、および大学における情報教育等の現状について解説いただくと共に、授業運営や近年の学生気質についてもご講演いただいた。

(1)大学における情報系学部の開設について

大学における情報系学部の開設は、1990年後半に開設が相次つぎ一旦沈静化したが、ここ数年は再び開設が増えて第2次ブームといってもよい状況である。その背景にあるのが、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」と「大学・高専機能強化支援事業」に依るところが大きい。
前者は、AI・データサイエンス人材育成強化を目的とした認定制度で、必要なカリキュラムを備えた大学に対して認定、いわば「お墨付き」を文部科学省が与えている。これにより大学のイメージ向上および優秀な学生の獲得に資することが期待できる。
後者はデジタル・グリーン(バイオテクノロジー)等の成長分野を担う理系人材育成のための学部再編に対する補助金が交付される制度で、対象は公立・私立の理工農の学位分野で国立大学は対象外である。
これらの背景の元、関西の大学においても2023年度以降情報系の学部新設が相次ぎ、講師が教鞭をとっておられる高崎商科大学においても2027年に情報学科が経営学科から独立して開設される予定とのことである。

(2)教育現場におけるICTについて

最近はいわゆるオールドメディアの衰退の波は、若い世代が核となる大学においては顕著な傾向が見られる。最近の学生に見られるいくつかの事例を挙げると、連絡はE-mailを使わずSNSが主体のため、名乗らない・題名の無いメールが多発している。また電話を使うことに慣れておらず個人からの電話に出たがらない、紙媒体を使わずPDFなどのデータ主体となっている。特にメールや電話の基本的なマナー等については、社会に出たときのために大学でも指導を行っている。
セキュリティ教育もますます重要な要素であり、特に個人情報やプライバシーの保護、フィッシング詐欺等への注意喚起、SNS等での誹謗中傷、著作権侵害への意識の向上等である。
加えてAIの利用浸透に伴いレポートや論文にAIを学生は当然のように活用してきており、AIとどう向き合うかも教育現場としては考えていかねばならない。

7.所感

デジタル化の進展がもたらす大学の教育現場への影響や学生気質の変化に関するお話から、私のような昭和世代の元学生からすると隔世の感がある。4月には私の職場にも新入社員の入社があるが、今後彼らと接する上でとても参考になった。
また情報系学部の新設が増えているお話に関して、その多くがメディア系やデザイン系が主体の様である。一方でシステム監査はどちらかというと、経験を積んだSEが取得するスキルや資格と思われがちであるが、むしろ私はこれから情報系を目指す学生にもシステム監査について体系的に学んでもらい、監査目線によるリスクマインドを持った情報系人材として社会に送り出すことも、今後の健全なITの進展には不可欠では無いかと、本講演に参加して感じた。

以上