報告者:No2803 竹下健一
1.テーマ : 危機管理と情報システム-真の住民のための危機管理対応(BCP)とは-
2.講師 : 被災者支援システム全国サポートセンター長 吉田 稔氏
3.開催日時 : 2012年3月16日(金) 18:30~20:30
4.開催場所 : 大阪大学 中之島センター 7階 セミナー室
5.講演概要
(経過:情報化のターニングポイント)
・西宮市は全国に先駆けて自治体情報化を推進。職員自前のシステム開発を徹底した。
統合データベースを採用し、絶対的位置座標(=XY座標)を付与。阪神・淡路大震災における復旧作業の最中被災者支援システムを開発。GISを駆使した被災情報分析もいち早く開始し、被災者支援業務を中核とする復旧復興に大きく貢献した。
(被災者支援システム)
・被災直後、電算システムが倒壊する中、すぐにハードウェアの復旧に取り掛かり、奇跡的に全体の2割のコンピュータが復旧。そのような状況下で、当初は被災者証明書の作成に限定し職員自らがシステムを作成。被災者支援業務の肝は家(家屋)ではなくて人(世帯)であり、そのために住民基本台帳を基盤とする被災者台帳を立ち上げ、被災状況把握、罹災証明書の発行や各種義援金の配布状況など支援に必要なデータの一括管理にも大きな威力を発揮。
・2006 年から「被災者支援システム」をライブラリに登録し、自治体には無償で提供。地方自治情報センターのサイトから、どの自治体でもダウンロードして利用できる。2012年1月17日にVer.5を公開済。
(危機対応の鍵)
・予想外の危機が発生したとき、最も重要なものは、スピーディーな決断を行うための情報。庁舎が破壊され、職員の消息確認もままならない中で、必要な判断を次々と下さなければならない、そのときに最も必要なものは情報であった。ゆえに、適切な決断ができる枠組みを平時から準備しておくことが重要。
・第一に決断できるシステム管理者(リーダ)及び構築できる職員が存在すること。
第二に実施の際に協力・支援してもらえる環境が即刻整うことも必要。人間関係及び人的ネットワーク、システム稼働のためのあらゆる行動、支援が大切。
以上を大前提に、電算システムの復旧作業が達成できていること。とりわけ日々の経常業務システムが稼働していなければならない。
6.所感
・阪神/淡路大震災での実体験をもとに、なまなましい出来事を交えて講演していただき、2時間の講演中緊張感を持って拝聴した。講演最後に「最善を望み、最悪に備えよ!」と示され、備えへの甘さにあらためて気づくことができる良い機会となった。
以上