会員番号 2782 大谷英徳(近畿支部)
1.テーマ 『システム導入時に納得感を得る取り組み』
2.講師 IT講師 石田真二様
3.開催日時 2025年7月18日(金) 18:30~20:30
4.開催場所 ドーンセンター5階セミナー室2、オンライン視聴(Zoom)
5.講演概要
システム導入しても納得感がない要因と打開策の考察、及び、経営目的にそったシステム監査に向けた視点についての提案について、ご講演いただきました。
(1)なぜシステム導入しても納得感ないのか
システムを導入しても導入先で納得感が得られていないのは、過去の導入経験から、導入先における原因としては①システムを使いこなせていない、②ITのことが分かっていない、③戦略に基づいた導入でなく場当たり的である、ことである。一方、ITベンダー側の原因として、導入先の事業や経営に関する理解が不足したまま導入を行っている。ことである。
(2)納得感あるシステム導入には
そのためには、導入先の経営層にITリテラシーがあり、かつ経営層と従業員のベクトルが合っていること、ITベンダー側においては導入先の理念やビジョン・戦略を理解していることが根本である。つまりシステム導入のプロセスにおいて、経営戦略に基づく情報システムを設計し、それを経営戦略にフィードバックするサイクルを有効に機能させることである。従来はややもすれば、この経営戦略に基づいた設計のプロセスが機能していなかったと見られる。これを実現するためには、小手先の改善や技術の導入ではなく、導入先の経営者・従業員、ITベンダーなどシステム導入に携わる人すべての「マインドセット」を見直すこと、つまり、システム導入ありきの固定概念を打破することが、最も必要なことである。
(3)システム監査への期待
システム監査においては、前項(2)で述べたことがらを踏まえると、システムそのものの検証に留まらず、導入先の組織全体に係る高いレイヤーでの検証を望む。具体的には、①経営層のITリテラシーやマインド、つまり変化を受け入れる気概を持っているか、②企業の雰囲気、つまり場当たり的でなく戦略に基づいた思考風土を有しているか、③従業員の活気、不平不満が充満していない職場の雰囲気であるか などである。その上で、経営戦略に基づく情報システムを設計が行われているかといったITガバナンスにスコープを当てたシステム監査がより有効と考える。
6.所感
30年にわたるSEでのご経験に裏打ちされたお話しであり、SE経験者である私も随所で大きく頷くエピソードも満載であった。その中で繰り返し強調されていたのは、システム導入の成否はやはり「人」である。ということだと感じた。一方システム監査については、情報セキュリティやシステム障害に関する項目に重点が置きがちであるが、そもそもそのシステムが経営戦略に合致したものであるのか?というITガバナンスに対するシステム監査が十分機能していなかったと思われる。令和5年改訂の「システム管理基準」では、ITガバナンスの項目を独立して設ける改訂が行われたが、今回の講師のお話しもITガバナンスの重要性を裏付ける内容であった。
以上
